さて、ここ藤枝は、藤枝茶の産地でもある。
この土地では、新茶を「一番茶」と称し、順次摘まれていって「四番」までが出荷されるという。深い緑のお茶は芳ばしく、私はここのお茶が大好きだ。
郊外には小高い丘が連なっているが、そこには丹精された茶畑が斜面に幾段にも広がり、なんとも言えない風景ではないか。(鹿児島の茶や狭山茶は、ここの丘陵状とは違って、平面に広がる茶畑だ。)
冬の時期は「遠州のからっ風」と呼ばれる強風が吹きすさぶ。(故郷の上州―群馬県前橋市は強烈な赤城おろし―の空っ風でなれた私も、ここを冬訪れたときの強風には驚いた)
斜面に広がるため満遍なくその風に鍛えられた上での、この季節を迎えての芽吹きだ。
そのお茶が、不味いはずがないのであった。
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