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2010.07.11
小野池あじさい公園

アクセス;
 JR上越線―渋川駅よりバス(伊香保方面行き)

カメラ;
 PENTAX K−10D

レンズ;
 PENTAX DFA100mm F2.8 MACRO
 PENTAX DA50−200mm F4-5.6 ED


 梅雨の季節は、鬱陶しさが増す嫌な時期だ。首筋が重い状態が梅雨明けまで続く。

 少しでも、暗い気分を晴らそうと、可憐に咲く紫陽花の様子を楽しむことにしている。
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平沢川
公園の入り口

 まずはご近所の花の状態(2010.06.19 「散歩道の紫陽花」)を確認し、頃合をみてカメラを手に近郊の公園へ出掛け、静かな公園の散歩と撮影(2010.06.27 「紫陽花・睡蓮が咲く」)を楽しむ。

 さて、近所で咲く花も勿論良いが、今年はちょっと遠征してみた。ふるさと前橋の北に位置する渋川市が今日の舞台だ。

 草津(くさつ)や四万(しま)などと並んで日本の名湯として名高い「伊香保(いかほ)温泉」へと続く道の脇に、紫陽花の咲く静かな公園がある。

あしさい公園の斜面 あしさい公園の斜面
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芽吹き

 もう10年近く前になるが、ここへはリバーサルフィルムでの撮影で訪れて、その後何年か通った事がある。

 当時愛用していたペンタックスの「Z−1P」が撮影途中で電池切れし、無用の長物と化した。大きく重いボディを投げ捨てたくなった事を思い出す。

 Z−1やZ−1Pは、いまだに第一線で通用する銘機だが、その電池が特殊だった。<2CR−5>というリチウムパック6Vの電池を利用する。そんな型番の電池を地方の小都市で入手するのは大変で、とても外出先で調達できるものではなかった。

あしさい公園の斜面 西洋紫陽花

 その年は、この公園で2枚だけ撮影して、あえなく紫陽花の撮影は終了したのだった。

 実はZ−1Pの「大きさ」というものは、周到に計算されつくした形状で、その「重さ」も安定した撮影をもたらすための重要な要素のひとつだ。眺めているとそうした事が判らないのだが、手にとってしばらく使ってみるとその事に気がつくことになる。
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可憐な色

 さて、この公園は渋川市の北部地域にあり、上毛三山(じょうもう さんざん)で名高い「榛名(はるな)山」麓の伊香保方面から流れる「平沢(ひらさわ)川」に沿った峰の斜面に展開している。市民憩いの場として美しく整備がされている郊外型の自然公園だ。

 公園の最上部には川の水を引き込んだ農業用の貯水池の「小野池(おのいけ) 3000u」がある。あじさいの季節以外は、その池が公園の中心になるのだろう。

小野池への遊歩道 小野池への遊歩道
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紫陽花 額紫陽花

 その貯水池が魚釣り場として整備され、峰筋を巧みに利用した公園になっている。斜面に沿って園内を巡らされた遊歩道(園路)脇に数多くの紫陽花が植えられている。勿論、園路脇だけでなく斜面そのものも幾段に渡って紫陽花で埋め尽くされている。

 「あじさい園」は138000u(約1.4ヘクタール)。遊歩道が斜面に広がり、歩いてみると案外に広いことに気がつく。

歌碑
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 園内は,その名に違わず、市花である紫陽花が所狭しと多様に植えられている。

 種類も多いし、同じ種類でも土壌の性質を変えているのだろう、色もとりどりで、多くの和色の饗宴を楽しめる。

 案内によれば、20種8000株が植えられているということだ。西洋あじさい、紅山アジサイ、小甘茶、七段花、ベニガクアジサイ、ガクアジサイ、などがそれだ。

額紫陽花

 その上部、榛名山から張り出してきた峰の斜面になるわけだが、大きな池(先に触れた釣りの楽しめる貯水池)からは水が取られて、園内を小さな滝を作りながら下手の小さな池へと流れている。

 その流路が石組みされていて園内を巡っている。涼しい流れの脇で咲く様子なども、ちょっと雰囲気がある。

紫陽花 石仏
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斜面に広がる

 多彩な紫陽花が植えられているわけだが、この公園では親切に株の足元に種類を書いたプレートが置かれている。

 手毬型の西洋紫陽花や銀河のような額紫陽花や山紫陽花など、すぐに判るお馴染みの種類のほかに、初めて目にするような姿の花もある。

妖精のようだ 若い芽
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重厚な色

 どれもみな、せいいっぱいに咲いているので、実にその姿が清々しくて美しい。

 枯れ始めると途端に色が濁って汚らしくなるが、この時期でもまだ十分に咲いている。

 「渋川(しぶかわ)」の町は先に書いたように榛名山の山麓に広がっている。前橋同様に市内を利根川が流れる。その流れは前橋の場合は市の西端部になるが、山間に広がる渋川の場合は東端部を流れていく。

 前橋の北部に位置しており、関東平野が前橋で終わりを告げて、新潟へと続く山間部が始まる場所になる。日本列島のほぼ中心といえる位置にあるらしい。その渋川市に榛名方面からくる北東側の尾根の斜面に公園が展開している。

 山の気候といえようが、さらに平沢川が流れているので気温は平野部と比べると大分涼しい場所になる。

紫陽花
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紫陽花

 そうした環境のため、7月半ばであってもまだこれから、という新鮮な雰囲気で花々が咲いているのだろう。

 今が最盛期なのかも知れないが、まだまだ7月下旬までの間、これからも楽しめるといった感じがする。

紫陽花 紫陽花
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紫陽花

 昼間だと、気温が上がって花たちは元気な姿でなくなってくる。

 だから、いつも私はこの公園へ早朝に訪れることにしている。今日は、少し出遅れてしまい、園についたのは8時近くになってしまった。昨日、中学生時代からの友人たちと久しぶりで会ったためだ。

 最短で一年ぶりに会う友人がいたが、多くは数年(8年ほどだろうか)振り、一人は30年振りだったしもう一人も20数年ぶり、だった。ほんの6人の集まりだったが、実に楽しい時をを過ごした。

額紫陽花
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紫陽花 ヤマエンコグサ

 中学生のころに、30歳位になって飲んでみたら、お互いにオヤジになっていて楽しいだろうな、などと冗談交じりで話した事があったが、さすがに50歳の自分たちがうれしそうに飲みあう姿までは当時想像する事が出来なかった。

 遥かな昔に、回りの時間が溶け出していって、気がつくと一時、まるで少年同士の自分たちがそこにいた。

 今にして思えば、夢のような時間だった。いや、そうではなく、お互いに連絡もせずに過ごしてしまった時間こそが、夢の中であったのかもしれない。

 信じられないような当時と同じ笑顔で、8月の再会を約した友人達のことを、山際で可憐に咲く紫陽花の花を眺めながら、ふと思い出した。

 なんだか、いつに無く温かな気分に浸って、公園を後にすることが出来た。

公園の様子
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