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水彩スケッチ :道具 (携帯用 固形透明水彩絵の具、水彩色鉛筆)

< 水彩絵の具 >

関連ページ; のんびり 行こうよ; < 携帯絵の具 その2>


 水彩絵の具の性質には、大きく分けると「透明」と「不透明」の種類がある。

 油絵の具やアクリル絵の具と違って、水彩絵の具は水で溶いて紙に着色する仕組みなので、描く人が考えて濃度を自由に調整できる。

 濃度というものとはまた別に、着色(発色)の性質として透明・不透明の違いがある。この違いは当然ながら表現手法の違いとなってくるし、そうした違いを踏まえたうえで描かれた絵は、まるで別のものという印象になる。

 不透明の絵具というのは「ガッシュ」というもので、ポスター・カラーをイメージすると判りやすい。色を重ねても下の色が透けえこないという特性を持っている。だから、この絵の具で描くとき、それは濃い色相を最大限に利用して、油絵のようなコッテリとした濃度を持った重い画風で仕上げる事ができる。

 普段目にする、手の込んだアニメの背景画などがこうした方向での代表的な表現技法だろう。鬼平犯科帳や剣客商売などの著作で有名な時代小説家の池波正太郎さん。真田太平記など、連作での大きな仕事をこなす中で、映画鑑賞やグルメ、そしてスケッチの腕前でも有名な大作家だ。敬愛して止まない池波さんだが、そのスケッチをご覧になった事があるだろうか。「大川と佃大橋」の絵などは実に素晴しいものだ、と思う。

 反対に透明水彩はその名の通りの性質を持っていて、下の色を透かす事ができる。混色する場合はパレット上で混ぜて、色を作ってから着彩する。さらには、透明水彩では一度塗って乾いた場所に塗り重ねて(下色を利用するとこで)、パレットでの混色とはまた一味違った雰囲気を作る事が出来る。

 透明水彩はまた、紙の色を最大限に活かす事ができる。そもそも、透明水彩絵の具には「白色」は存在しない。白は色相としては「不透明」だからだが、色としての白を表現したい場合には、色を着けずに紙の地色を使って表現する。

 透明水彩では紙の白い色が絵の具の発色を助けて、鮮やかに、まろやかに、その色を表現する事ができるわけだ。

 こうした特性から、透明水彩の絵の具でスケッチしたものは何ともいえず優しくて軽やかな雰囲気が出る。水で溶く濃度を調整すれば、いくら透明水彩であっても、不透明に出来るし、4色程度で混色すれば透明感は無くなる。

 しかし、やはり、透明水彩を使う意味からいったら「淡彩」による表現が一番だろう、と思っている。

携帯セット 12色
 (ウインザー・ニュートン COTMAN
     ポケットボックス)

     携帯セット
携帯セット(ウインザーニュートン16色)

携帯セット 16色 (ウインザー・ニュートン)

< 絵の具を携帯する >

 出先でスケッチして、透明水彩絵の具を使って着彩まで現場で行なう場合、絵の具などの一式を持ち運ぶ必要が出るので、それなりの機能のものを選ぶ必要がある。

 小型で軽量、そして持ち運ぶ事が負荷とならない、という点で絵具の種類を改めて考えると、それは<固形絵の具>という選択に行きつく事になるだろう。たとえば、英国製のラウニーやウインザー・ニュートン。発色のいいヴァン・ゴッホなどの海外製品やヌーベル、クサカベなど国内各社の製品、などと豊富な種類があり、色数やセット内容など、販売される状態もさまざまなので好みのものを選べる。

 写真に撮ったのは、私が使っているもの(もう、10年近くになるだろうか・・)で、12色の方が<山行(低山ハイキング)>の時に利用するもの。最小構成の水彩セットで、基本色しかないので足りない色は混色して出す必要がある。筆とパレットがセットになって銀行の預金通帳ほどの大きさだ。重さも金属が無いので、それ程ではない。プラスチックのパレットは充分な強度を持っている。

 そして、その横が16色のセット。これに自分で選んだ色を7色加えてセット化している。筆のほかに鉛筆が小さなプラスチックの箱の中に機能的に収納できる。
 (イエロー系、レッド系、ブルー系、グリーン系、オーカー系とチャコール、それに不透明の白を加えている)
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携帯セット 鉛筆と筆
携帯セット(水筆)
携帯セット(筆と鉛筆、消しゴム)
ステッドラーの鉛筆

< 絵筆と鉛筆 >

 スケッチ用の透明水彩絵の具を「固形絵の具」にすれば携帯に便利だが、しかし、それだけではスケッチが出来ない。

 鉛筆かペン、それに彩色用の筆も何本か、一緒に持っていかなければスケッチを現地で絵として仕上げる事ができない。先に携帯する絵の具の部分で紹介したウインザー・ニュートンのセットであれば、小筆も一緒に入っている。16色の方のセットなら、筆に加えてさらに鉛筆も収納できる。

 しかし、あのセットに付いてくるアルミの軸を持った筆は「極細」なので、描こうとする絵の全てをまかなうには辛いものがある。そこで、小ぶりの絵筆の登場、という事になるわけだ。

 各メーカでは、通常の軸のほかに、短い軸の絵筆シリーズをそれぞれ用意している。外で使うにはこの短い軸のタイプが良い。携帯を意識したさらにコンパクトなシリーズもある。私が使っているのは、そうしたシリーズの平筆や丸筆だ。

 そして最近、手放せなくなってしまったのが、「ぺんてる」の販売する「水筆」という製品だ。

 軸の部分が貯水タンクになっていて、そこに力を加えると、筆先に水が浸透してくる、というものだ。他に、さくらクレパスやステッドラーなどからも同じコンセプトの製品が出ている。筆の材質はナイロンだけで他の毛種を選択する余地は無いのだけれど、この利便性に慣れると他のものは使えなくなってしまう。なにせ、水壷の携帯が不要だし、洗筆も自在なのだから、便利この上ないのだ。

 さて、下絵(デッサン)用途は主に鉛筆で、シャープペン(フォルダー形式)式のものを利用している。三菱ユニのものを小学生の頃に使っていたが、あれと同じ機構のものが今も継続販売されていて気に入っている。その製品にはノック機能の部分があるが、ノック式で芯が自動的に出てくる仕掛けではなくはなく、単に芯のホールド(および開放)のみを行なうものだ。

 普通の鉛筆の芯をプラスチック製のフォルダーに収納するタイプのものであり、描くときの使いようが鉛筆と同じになる。シャープペンでは芯が立ちすぎてしまうが、これならそうした心配は要らない。

 あとは、あまり利用はしないけれど、消しゴム。これもコンパクトなスケッチブックに描いた線を消すのに至極便利なので、鉛筆同様にフォルダー収納型を使っている。
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< 水彩色鉛筆 >

 スケッチするのは、鉛筆やペンでデッサン(下書き)をし、物の輪郭線が出来上がったところで、それに着彩をする手順をとる。この手法では、浮世絵ほどではないが、必ず、物体の境界や空間との狭間には自然界には存在しない「黒い線(ふちどり線)」が引かれる事になる。

 こうした表現が気になって「いっそ輪郭線の無い状態を!」と思ったが、なかなかうまく描けない。大きな対象なら良いのだが、密なモチーフ(対象物)となると色の面を繋いでいくといった状態では、なんだかテーマもボヤケテしまって、掴みどころがなくなってくる。

 こうした事から、物体の境界を黒色の縁取りではなく、その色で表現しようとして<色鉛筆>を使う事がある。

 使うのは、水彩色鉛筆。描いた線の跡を水を含んだ筆でなぞれば、水彩化が可能というものだ。

 スタビロ社の製品が古くからあった。青色などは、書いた後でそれが水分を含んでインクのようになるというので、高校生の頃(35年前)はそれを使っていた。受験勉強用のノートや試験用のカードをそれで書いたりするためだ。

 その後、色鉛筆本来の使い方(絵を描くための鉛筆であれば、絵で使う色数を揃えねば・・)を、という訳で、銀座の伊東屋へ行って各色を買い揃えた。ケースも色鉛筆専用の窓空きのものがあった。これなら収納した内容が判りやすい。

スタビロの小型水彩色鉛筆

携帯セット(スタビロの12色セット)
個別に揃えたスタビロ
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個別に揃えたスタビロ 携帯セット(ファーバーカステルの12色セット)

 そうしたわけでスタビロは15・6年ほど前にバラで個別に揃えて、24色。携帯性を考えて12色用ケースに収納したので2個セットになったが、どの色が収納してあるかは、ケース上面に窓があるので判り易くて重宝している。同じくスタビロの小型携帯用のセットで、こちらは12色。これだとスケッチ・ブックと色鉛筆だけで、最小のセットを構成できる。

 色鉛筆は、実際の出番はごく少ないのだが、先に書いたような「輪郭へのモヤモヤ感」から、その克服が長年の課題になっている。それに製品が持つトキメキ具合から、様々なメーカのものを購入してしまい、数種類を持っている。他にはステッドラーのセットやガランダッシュやファーバー・カステルのセット、これらは皆12色のメーカー配色でのあつらえだ。

 実はお宝なのだが、「50歳を過ぎたら使おう」と考えて数年前にファーバー・カステルのセットを買った。36色組で、同社のアルブレヒド・デューラーというシリーズのもの。しかし、もったいなくて開封できない。そうしているうちに24色のセットが、とあるお店でセール(バーゲン)されていたのに出会う事になった。眺めていたら堪らなくなって、それを購入してしまった。

 こうした事もあって、36色の方の利用開始は10年先送りした。「還暦まで頑張った自分へのご褒美」という事に、その開封目標の設定を切り替えたのだった。

ファーバーカステルの24色セット ファーバーカステルの24色セット
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