2010年。
もうじきに新しい年が訪れるが、結局、年の瀬まで「反省」無く過ごしてしまった。
新年から実に仕事が忙しかった。
ふとしたきっかけで20年勤めた会社を替わった。職種は同じなので、転籍とでも言うべきか・・・。
その関係で、引越し(同じ町内だが)もした。
丁度、今年は人生節目の50年。
いつの間にか、「下天のうちを比ぶれば 夢幻のごとくなり」と謡って本能寺の炎に織田信長が倒れたのと
同じ年を迎えてしまった。
考えてみれば、今年は激動の年だった。
さて、今日はとうとう二十四節気の最後、「冬至」となった。
前橋の実家には本柚子の木がある。小ぶりだが、枝いっぱいに薫り高い柚子の実が成る。
「桃栗三年、柿八年」。地方によってこの後が違うようだ。
我が家では「柚子の馬鹿めが18年」、と続けていた。
高校生の頃に父親が植えたから、今ではあの木も35年を超える樹齢を持っているはずだ。
就職して数年過ぎた頃だから、植えてから10年ほどだろうか、初めて実を付けたのは。
父は12年前に闘病の末、亡くなってしまったが、植えた様々な樹木は今に残っている。
手入れはすっかり怠ってしまっているのだが、林檎、梨、柿などだ。
美味しそうに、果実を毎年、たわわに実らせてる。
そんな実家の柚子の実のうち大振りなものを2個、湯船に浮かべた。
この季節だと、車内にいつも柚子の実をひとつ置いている。運転中にあの香りに包まれると気持ちが安らぐ。
年の瀬の慌しさも、道路渋滞の忙しなさも、忘れることが出来るからだ。
湯船に浮かんだ柚子の実を、お湯の中に押し入れてみる。山吹色の球体がぼかんと浮き上がって湯気に香りが満ちる。
入浴剤でも冬場になると「ゆずの香り」のものを使うが、今日は人工的なそれとは違う香りに包まれる。
その香りを嗅ぐと、なんだか父が直ぐ傍で微笑んでいるような気がしてしまう。
一時、なんとも言えない切ない気持ちが、心を満たす。
自分もいつでも朗らかに微笑んでいられたら、と・・・。
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